日記

どこにでもいる人の、ありふれた日記です。

会社を辞めた日も、いつも通りの朝だった

最終日、会社を辞めるというのにいつもの時間までダラダラと寝ていた。テレビの星座占いも、1位とかビリってことはなくて、たぶん8位くらいだった。お化粧だって顔に軽く塗ったくらいで、本当に特別なことは何もしなかった。ゴミもちゃんと出したし。むしろ、いつも通りの朝を迎えることで、ささやかな反抗をしたかった。何に対してかは、わからないんだけれど。

会社までの道も、これで最後なのに、特に何にも思わなかった。さみしい気持ちも、やっと辞められるなんて気持ちもなくて、ただ、本当にいつも通り、明日も同じ道を通るんじゃないかと思うくらい、心は落ち着いていた。もしかしたら辞めるという実感がわいてなかったのかもしれない。

私にとって最後の日だったんだけれど、皆んなにとっても年内最終出勤日で、社内もなんとなく、ソワソワしていた。最終日だというのに私は、最後まで仕事をしていて、引き継ぎとかやっていた。あとは、直接挨拶できなかった人たち宛にメールを作ったり。辞めること公表されたのが2日前くらいだったけれど、言わなきゃと思っていた人たちには直接挨拶できたのでよかった。みんな、辞めるんだって?と話しかけてきてくれたりして、ビックリしたよと言われた。うん、たぶん、周りからみたら私は割と上手くやってるように見えて、自分で言うのも本当に何だけれど、入社一年目にしては交友関係が広かったと思う。それで、いつもニコニコ、冗談とか言ってたので、まさか辞めるとは思われてなかったんだろうな。辛かったけれどニコニコは本当で、会社は好きだった。ただ、自分の部署ではこれ以上やっていけないと思っただけだった。これからどうするのと何人かに聞かれたけれど、何にも決まってませんと正直に答えた。少しでも、仕事で何かあったのかなと思ってほしくて、そんなこと言った。ただ何にも考えてない、ゆとりだと思われた可能性もあるけれど。あとは、別部署の、一度怒られたことあって威圧的なので少し苦手だった部長に、ちょうど仕事の話で電話が来たので挨拶をしたんだけれど、すっかり良いことを言われて、あの人がこんなこと言うなんて、とかなり感傷的になってしまった。私はギャップに弱い。皆んなに、餞別の言葉として、きっと定型文なんだろうけれど、あなたならどこに行ってもやっていけるよなんて言われるたび、どこでもやれる人が1年ぽっちで辞めるはずはなくて、実際ここではやっていけなかったので少し悲しい気持ちだった。そんな感じで大体挨拶を言えた気でいたので、終業前に部署の人で集まって、退職の挨拶を一言、なんて言われたときにも、全く考えていなかった。もうすっかり、この間の忘年会とかで私は私の部署が嫌いになっていたので、やってやれという気持ちで挨拶をした。とっさに思いついたことだったのでよく覚えてないんだけれど、「一年前、入社したときは、ずっとここで頑張るぞと思っていたので、無念でなりません(ここで自分で無念とか言ってるの意味わからなくて面白くなってしまった)」「ただでさえ皆さんすごくお忙しいのに、私の仕事を押し付けて辞めることになって、申し訳ない気持ちでいっぱいです(人が増えたのに、まだ忙しいんですねという皮肉をこめたつもり)」「どうか皆さん、体だけは大切にしてください(私が体調を崩したので、このままだとまたおんなじこと起こりますよという気持ちで言った)」みたいな感じだったと思う。後でおんなじ部署の人に、ずいぶん攻撃的な挨拶でしたねなんて言われたので、やってやれたんだと思う。我ながら大人気ないけれども、本当によくやったねと褒めてあげたい。それで、最終日だから部署の人はそのままお菓子とか食べながら談笑していて(毎年恒例らしい)、私はさよならのお菓子だけ渡してさっさと帰ってきた。部長と上司だけ、明らかに私にそっけなくて、まあ、良かったんだけれど、後で聞いたら私部長にも嫌われてたのかな。会議とかでも私にだけ厳しいですよねと2人くらいに言われて、あれは私にだけ向けられていたのかーと思った。だから、部署異動も出来ないと言われたのに、後で別の部署の人に聞いたらそんな話は来てないなんてことになってたのかな。そのへんはもう考えるのはよそう。とにかく、最後はあっけなくて、特に誰にも見送られることなく会社を出た。駐車場までの道で、とても好きな部長とたまたま一緒になって、最後に話ができたのでよかったし、最後に話せてよかったですと伝えた。また飲み会誘うよなんて言ってくれて、社交辞令なのわかっていたけれど嬉しくて、社交辞令通じないので、覚悟して誘ってくださいと答えた。

そんな感じで、最終日だったけれどいつも通り出勤して、いつも通り帰ってきた。なんだか頭が空っぽで、嬉しくも悲しくも悔しくもない。私本当に辞めたのかな。まだ実感は湧いてないけれど、辞めない方がよかったなんて惨めな気持ちには絶対になりたくないと思った。

まあ、これはどうでもいい話なんだけれど、辞めた日の夜、私の辞める大きな理由であった上司から電話が来て、時間を置いて2回来たんだけれど出なかったら、不快な思いをさせてしまってごめんなさいなんてメールが来ていた。私は大人なので次の日に、今までお世話になりましたとメールを返したんだけど、そしたらまた電話がかかってきた。もちろん出なかったし、電話して、私に勝手に謝って、そんなことないですよとか言ってもらって、許されたいんだなと思った。私は絶対に許さないし、電話も出ないので、ずっとそれを背負ったまま生きていってほしいと思った。私はひどい人なので、それが原因で何かあったとしても悪いななんて思わないし、むしろ一生苦しんでほしいと思ってる。そうしなければ、今まで辛かった私を裏切るみたいで、かわいそう。

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