日記

どこにでもいる人の、ありふれた日記です。

男の人を紹介してもらった

昨日は都会へ行って知らない人と会った。最近都会にばかり行って、知らない人と会いまくってる。この間は、インターネットで知り合った人と東京でお酒を飲んだ。魔法みたいな日だったんだけど、日記に書くのは少し恥ずかしいので、やめておく。いろいろ考えることがあったけど、やっぱり、東京は、人も街もすごいなあという感じ。かなわないと思った。
今回は、私が婚活パーティーに行きすぎて、それでいて連絡を無視されたりしていたので、不憫に思った人から男の人を紹介してもらえることになった。私は、もう一生独身で生きてくなどと意気込んで、髪を短く切ったりしてたのだけど、紹介してくれる男の人が、すごい会社に勤めてると聞いて、意気込みをすっかり忘れて、ぜひお願いしますなどと答えていた。
約束の日、せっかく都会に行くからと早目に家を出てウロウロしていたら、紹介してくれる人に何か手土産を買おうと思いついた。後日渡してもいいように、日持ちするものを考えて歩き回っていたら、スターバックスを見つけた。スターバックスは、めったに見ないので、見かけると少しビックリしてしまう。入り口に置いてあるコーヒー豆などを眺めていたら、店員のお兄さんが話しかけてきて、さらにビックリしてしまった。豆をお探しとお聞きしたので、と言われたけど、そんなこと一言も言っていなかった。しばらくオロオロして、あ、とか、う、とか言って、やっと、贈り物を探してるのですが、と声を絞り出すことができた。お兄さんは親切にしてくれて、何だか、私を特別扱いしてくれてるんじゃないかという気分になった。会計が終わる頃には、私はすっかり、お兄さんが私のことを好きだと確信していた。そういえば、前来た時も、別のお兄さんに好きになられた気になったっけ。スターバックスは、昼間もやってるホストクラブみたいだ。1000円くらいで、かっこいいお兄さんに、優しくしてもらえるなんて、とてもお得なお店だと思う。
約束していたお店には、15分前についた。過去の経験から、紹介してくれた人にも同席してもらうようにお願いしていた。最初は誰もいなくて、しばらくして紹介してくれた人が来たので、スターバックスのお土産を渡した。少し後に男の人が来て、思ったより地味だったのでホッとした(かなり失礼なこと言ってる)。好きな感じとは遠い人だったけど、好きな感じの人が来たら倒れてしまいそうだったので、良かったのかもしれない。
けれども、その男の人はおそろしく気がきく人で、ごはんを取り分けたり、店員さんを呼んだりしてくれて、私は、その人よりお金も稼いでないのに、お皿も配ることができなかった。上手く話すことすらできないで、男の人が私に質問してくれるんだけど、私は答えたきり黙ってしまって、隣にいる紹介してくれた人が代わりに男の人に質問をしてくれていた。
その男の人は、何でも受け入れてくれそうな優しさを持っていて、私は、甘すぎる優しさに、吐きそうになっていた。はちみつコーヒーみたいな感じ。苦手なコーヒーに、はちみつをいくら入れても、コーヒーは美味しくならなかった。コーヒーは苦いままでいるべきだし、はちみつは甘いアイスにかけて食べるべきだ。
きっと、一緒にいたら、私の汚さが目立ってしまうと思った。私は、布団の中で2人で天井を見つめて、奥のほうにあるどす黒い気持ちを、ポツリポツリと話したり、相手が同じようなこと言うのを聞きながら明け方に眠ることをしたかった。 
明るい場所は危険だ。ずっと下を向いて、家から出なければ、きっとこんな気持ちにはならなかっただろう。私はもう大人だから、ドアを開けることもできるし、鍵を閉めることもできる。